3.2 耐揮発油性試験による剥離塗膜片中の低分子量成分の存在解析手法
塗膜が剥離した箇所周辺の分子量は非常に小さいと推定される。高分子量化合物は芳香族炭化水素に容易に溶解しないが、低分子量の化合物は簡単に芳香族炭化水素に溶解することから、芳香族炭化水素にて耐揮発油性試験を行った。 塗料の規格であるJIS K 5400 8.24 の耐揮発油性試験では、「石油ベンジンとトルエンの混合物に、特別の規定が無い場合は4時間浸積して異常が無いこと」が明記されている。
3.2.1 耐揮発油性試験結果
従来技術品の無溶剤シリコーン塗料の塗膜は、数分間の浸積で低分子量成分が溶解して、塗膜の縮みが発生した。(図表参照) 新技術品はキシレン中に4週間浸積しても異常が無いことを確認した。
3.3 耐屈曲性試験図表参照
に新技術品を塗装した鋼板供試体で円筒形マンドレル法による耐屈曲性試験を行った写真を示した。外径が8oのマンドレルによる耐屈曲性試験を行っても、塗膜のひび割れや剥離が発生しないことを確認した。新技術品は可とう性を有することから、シリコーン塗料を鋼構造物の塗り替え用仕上げ被覆材として充分に活用できると考えられる。
3.4 過激な冷熱繰り返し試験
新技術品の強靭なシリコーン塗膜の長期抵抗性を確認するため、短期間でその概略の評価を行うことができる、過激な冷熱繰り返し試験を行った。 0.3o鋼板に無溶剤シリコーン塗料を塗布し、常温で28日間養生した供試体を用いて試験を行った。 「供試体を沸騰水中に30分間浸積後、常温に放置し30分後に冷蔵庫(4℃)に60分間水浸積した後、常温に30分間放置する」これを1サイクルとして過激な冷熱繰り返し試験を行った。一般的に、塗料は水分が介在する冷・熱環境では、その耐久性が急激に低下することが知られている。試験結果を以下に記載する。(n=3で試験を行った)
以上の結果から、新技術品中塗Aと新技術品上塗Aの組み合わせを最終品とした。
従来技術品の過激な冷熱繰り返し試験後の供試体。3供試体ともに2サイクル目の冷水から取り出した所でひび割れや剥離が発生した。新技術品の過激な冷熱繰り返し試験後の供試体の状況である。左端は、48サイクル終了後の供試体。中央は、27サイクル終了後の供試体。右端は、18サイクルの供試体(泡発生)。目視で微かに確認される程のひび割れが発生している。(図表参照)
3.5 耐熱性試験
鋼道路橋では、鋼床版にグースアスファルトを舗装する場合、その裏面温度は110〜180℃程度まで上昇する。この時の耐熱性を確認するために、高温炉(200℃前後)内で54〜68時間加熱し、密着状態や表面状態を確認した。結果は異常無しだった。図表は、耐熱性試験後の供試体の状況写真。右端は54時間、その左側は64時間の新技術品。左端の2供試体は従来技術の無溶剤シリコーン塗料である。従来技術品は、どちらも1時間45分で塗膜がバラバラになったため(接写図表)供試体をラップで覆って撮影を行った。
3.6 不燃性試験
無溶剤シリコーン塗料は、トンネル等の仕上げ被覆材としての用途もあることから、建築基準法で定められた不燃性能を確認するために、(財)ベターリビングにて供試体の発熱性試験を受け、「不燃材料」の認定を受けた。また同様に、(社)日本鉄道車両機械技術協会の鉄道車両用材料燃焼試験により、「不燃性」の判定を受けた。
3.7 土木用防汚材料評価促進試験
無溶剤シリコーン塗料の塗膜は親水性を示すことから、土木用防汚材料としての必要条件を具備している。そこで(財)土木研究センターにて土木用防汚材料評価促進試験方法T(案)及び土木用防汚材料評価促進試験方法U(案)による促進汚染試験を受け、土木用防汚材料評価促進試験T種合格及びU種合格の認定を受けた。
3.8 紫外線抵抗力の確認
無溶剤シリコーン塗料の主鎖であるシロキサン結合は高い紫外線抵抗力を示すことが知られている。図表は、メタルハライドランプを搭載したス―パーUVテスター(岩崎電気製)による2,000時間照射後の塗膜性状である。塗膜の光沢度は初期92→試験後65に変化したが、表面に白亜化の発生は認められなかった。
3.9 塩水噴霧試験
無溶剤シリコーン塗料中に防錆顔料を配合した防錆材に中塗、上塗を塗布した供試体に対して塩水噴霧試験を行った。(図表は試験後の拭き取り済み供試体) 試験時間は、100時間で、クロスカット部分の状況も良好である。この試験は社内試験であり、公的機関の塩水噴霧試験を受ける予定である。
3.10 炭素繊維補強・無機防錆材との適性確認試験
国土交通省のNETISにて準一般工事に活用する技術の適用性評価を受けている無機防錆材と密着性及び耐久性確認試験を行った。 この防錆材は、錆ケレンの程度が浮き錆以外は3種ケレンで充分であり、また付着塩分が基準数値の100mg/u以上であっても施工可能であるという特徴を持っている。 短切炭素繊維で補強したポリマーセメント系の防錆材ではあるが、3.5過激な冷熱繰り返し試験では、5サイクル異常無しという結果だった。供試体は、防錆材+中塗+上塗の複合塗膜である。建研式引張試験機で付着強度を測定した所、平均付着強度は1.8N/mm2であり、全ての供試体が防錆材の内部凝集破断であった。
以上のことから、複合塗膜の長期抵抗性及び密着性には問題が無いと判断した。

 

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