| 3.1 | GPC分析による剥離塗膜片の分子量分布解析手法 |
| 現場での塗膜剥離の原因は、硬化反応の異常にあると推定し、塗膜のGPC分析を行った。 GPC分析の手法は以下の通りである。 難溶性ポリマーをTHF等に溶かし、特定の網目を持ったゲル粒子が充填されたカラム内を、高速液体クロマトグラフと同様の装置に流す。 この時ゲル粒子の網目よりも大きな分子は、ゲル内に取り込まれずカラムから早く流出し、小さな分子はゲル粒子の網目中に何度も取り込まれて遅く流出する。 この「分子ふるい作用」を利用する分析手法がGPC分析である。 単分散標準試料(ポリスチレン等)の混合物についてのクロマトグラムを用いて検量線を作成し、この検量線に基づいて未知物質の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)を算出し、分散度(Mw/Mn)を求めた。 |
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| 3.1.1 | 剥離塗膜片のGPC分析 |
| 施工後、半年から1年後に剥離を発生した塗膜片を採取してGPC分析を行った。 この塗膜は、コンクリート下地の仕上げ被覆材として使用された。 剥離箇所は下塗の内部凝集破断によるものであり、塗膜剥離用のガムテープ側と下地調整材側の両方に下塗の白色が残存している、珍しい事例であった。 分析用に @下塗(下地調整材側に残った下塗塗膜をスパーテルにてこそぎ落として試料とした) A削りカス(ガムテープで剥離させた塗膜片の表面をカッターの刃でこそぎ落として試料とした。 ここには大部分の下塗と少量の上塗が混在している) B上塗(ガムテープに残った上塗を試料とした)を準備した。GPC分析結果を図表1〜5に示す。 |
| 塗膜構成 | GPC分析結果 図表1 |
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![]() ※分散度はMw/Mnで、分子量分布の広が りの幅を示す。 分散度は一般に5〜30程度 を示すと言われている。 ※下塗及び削りカスの分散度が異常に大きいことが判る。 |
| 図表2 上塗 | 図表3 削りカス |
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| 図表4 下塗 | 図表5 ポリスチレンの検量線 |
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| 「削りカス」のチャートに注目して詳細に図表3の分子量分布を見ると、流出時間13.0分〜21.6分の巨大な分子量の塊(分散度1.8)と流出時間21.6分〜30.9分の小さな分子量の塊(分散度2.7)があるために全体的な分散度が91を示していることが判る。 図表3のチャート中の○部分では分子量分布のピークが2つあることを示している。 下塗のチャートでも分散度の異常が認められる事から、下塗の分子量分布に異常があると考えられる。 剥離の原因が加水縮合反応の異常にあると仮定したことが正当であったと考えられる。 |
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| 図表6 削りカスの分子量分布 | |
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| 3.1.2 | GPC分析による新技術品の分子量分布の測定 |
| 我々が新技術により開発した無溶剤シリコーン塗料の分子量分布チャートを図表7、図表8に示す。 |
| 図表7 新技術品中塗 | 図表8 新技術品上塗 |
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図表9 新技術品の分子量分布 ![]() |
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| ※新技術品には巨大な分子はないものの、コンパクトな分散度で分子量分布の幅が狭く、揃った分子量になっていることから、塗膜性状は安定していると考えられる。 |